質問:角度を指定した線を引きたいのですが

オートキャド(AutoCAD)で線を引く際に、一定の角度を指定したいのですが、直交モード以外にはそのような機能はないのでしょうか。

■回答■

まず、オートキャド(AutoCAD)で作図をする際に、角度を指定して線を引く作業がどのくらいあるのかを考えましょう。

どんな操作をするかを考えるよりも先に、使用頻度を考えることが大事です。

図面の完成までに、その操作をたくさんやらなければならないのか、あるいはたまにしか使わないのかで、作図者として選択すべき操作は違う、ということです。

角度を指定した線を引く機会は、作図者によって、そしてどんな図面を作図しているかによって大きく違ってくるはずです。自分の場合はどうなのか、作図作業を思い返してみましょう。

角度を指定して線を引く作業が頻繁であるのなら、極トラッキング機能を、あまり使わないのなら相対座標入力を利用する。

結論を言ってしまうと、このような感じになるでしょう。これから、それらの機能を簡単に説明します。

■極トラッキング
これは、直交モードの角度指定バージョンです。

そう書くと非常に便利な機能であるような気がしてきますが、本当に便利かどうかは個人差があると思います。
個人的には微妙な操作感だと思いますけど。

オートキャド(AutoCAD)にはたくさんの機能が用意されていますが、中には微妙なコマンドもあるんです。微妙かどうかは実際にやってみて試してみましょう。

操作方法は以下の通りです。

①画面一番下のステータスバーに「極」というボタンがあるので、そのボタン上で右クリックをします。そこで出てくるショートカットメニューから「設定」をまずはクリックです。

極ボタンを右クリック

②作図補助設定というダイアログBOXが出てきますので、まずは一番上にある「極トラッキングオン」にチェックを入れましょう。これで極トラッキング機能を利用することが可能になります。

③その下に「角度の増分」という項目があるので、その中から設定したい角度を選択します。今回の場合は30度にしてみましょう。

角度の設定

④これで「OK」ボタンを押すと、設定は完了です。試しに線を引いてみると、確かに30度の線を引くことができます。

…ただ、個人的には操作感はいまひとつという気がします。

どうせなら直交モードのように、完全に角度の補正をした方が良かったのではないかと思ってしまいまが、いかがでしょうか。

■相対座標入力
この1本だけ、角度を指定した線を引きたい場合もあるでしょう。そうした場合、わざわざ極トラッキングの設定をするのは手間が多くてお勧めできません。

そんな時は数値入力をして角度を指定する方が効率が良いです。操作方法はとても簡単です。オートキャド(AutoCAD)で作図をする際には、割と頻繁にお世話になる機能です。

1点目を指定して、2点目を選択する際に以下のようなルールで数値入直をするだけです。
@2000<30

上記のような入力だと「長さ2000で角度30度の線を引く」という意味になります。

@がつくと「1点目に対して(相対)」という意味になり、その次に線の長さと角度を指定するという流れになります。もちろん線を引くだけではなくて、移動や複写をする際にも使えますよ。

■選択肢はけっこうある
このように、同じ結果を得るのにも、様々な方法がオートキャド(AutoCAD)では用意されています。

上記で説明した以外にも、直交モードをONにしてで線を引き、回転コマンドで角度を指定するという方法もある訳です。手が早い人ならその方が早い場合もあるでしょう。

その中から適切な方法を選択して、スムーズに作図を進めていくのが作図者の役目です。

その前にたくさんの選択肢を知識として蓄えておく必要がありますが、知識を蓄える価値はきっとあると思います。

選択肢は多ければ多いほど良いのです。少なくとも選択肢が全くないよりは、一つでも多い方が良いはずです。
自分の引き出しを増やす為にも、できるだけたくさんのコマンドや機能を知っておくように心掛けましょう。