質問:ポリラインの使い道はどこにあるのか?

オートキャド(AutoCAD)の作図機能として、通常の線分コマンドの他に「ポリライン」という機能がありますが、これはどんな場面で使うのでしょうか。

オフセット(OFFSET)コマンドなどを使用した際に、その線がポリラインだったりすると、余分な線まで思いがけずにオフセットされてしまい困ります。

全て通常の線分(LINE)で作図をしたほうが分かりやすいと思うのですが、管理人さんの意見を聞かせてください。

■回答■

ポリラインとは、複数の線分や円弧が接続されて、それがひとつのオブジェクトとして構成されているものを指します。

って、少々堅苦しい表現になってしまいましたね。要するに、いくつかの図形が組み合わされているオブジェクトのことをポリラインと呼ぶのです。…あまり変わりませんね。

ポリラインの特徴はいくつかありますので、ここで一応確認をしておきましょう。

①複雑な図形でもひとつの図形として扱われる
②線に太さを持たせることができる
③閉じている場合は内側の面積を調べることができる

質問頂いた内容としては、オートキャド(AutoCAD)で図面を作図していく中で、どのようにポリラインという機能を使っていくのか、という点だと思います。

でも、ポリラインの使い道を探るよりも前に、その特徴をつかんでおかなければ話は始まりません。そういう意味で、まずはポリラインの特徴をお話ししました。

基本的には、上記のような特徴を生かせる場面でポリラインを使っていくことになります。特徴を読んでみて、作図の際に役立ちそうな場面はあるでしょうか。

私の考えが完全に正解という訳ではありませんから、まずは自分でもどんな場面でポリラインを使えばよいのかを考えてみましょう。この「自分で考える」という行為は非常に重要なんですね。

では、まずポリラインの特徴①から。

①複雑な図形でもひとつの図形として扱われる
頂いた質問でもありましたが、ポリラインは複数の線分や円弧がひとつのオブジェクトとして見なされます。

ですから、例えば複雑な図形をオフセットしたい場合などは、対象をポリラインで作図することによって、1回の作業でオフセットを完了させることができます。

頂いた質問では「オフセットしたくない線分まで一緒にオフセットされてしまう」とありましたが、逆にその機能を有効に使うことも出来るのです。

図形が複雑であればあるほど、通常の線分をオフセットした後にフィレット(FILLET)などで端部をつなぐ作業が手間になってきます。

そうした場面では、あえてオフセット対象をポリラインで作図することにより、オートキャド(AutoCAD)での作図効率が大幅にアップすることになります。

②線に太さを持たせることができる
オートキャド(AutoCAD)では通常印刷する際のペン設定(線の太さ)をオブジェクトの色で管理することになります。

色による印刷結果の管理はオートキャド(AutoCAD)だけではなく、他のCADでも同様です。でも、そうした設定とは関係なく、ポリラインを使えばその線の太さを自由に設定することが出来ます。

つまり、オブジェクトの色が同じ「赤」だとしても、オブジェクトプロパティ管理でポリラインの「グローバル幅」を変更してしまえば色々な太さの線を印刷することができる、ということです。

ポリラインの幅

上図ではポリラインの「グローバル幅」を左から1、5、10に設定しています。同じ赤い線でも、ポリラインを使うことによって印刷結果は大きく異なってくるはずです。

ここで注意点をひとつ。ポリラインの幅を「0」以外に設定すると、印刷結果はポリライン幅を優先することになります。あくまでも色による線の太さを利用したい場合は、必ず「0」に設定しておきましょう。

③閉じている場合は内側の面積を調べることができる
面積の算定。どんな仕事でオートキャド(AutoCAD)を使っているかによって違ってきますが、人によってはよく使うことになる機能でしょう。

実は、わざわざポリラインを使用するまでもなく「AREA」コマンドで面積は算定することが出来ます。ですが、それでもポリラインで範囲を囲った面積を出すことが出来るのは便利です。

例えば、図面上で色を塗る為にポリラインで範囲を囲い、その面積を算定するという流れです。

私の話になってしまいますが、床にカーペットを敷くのか塩ビ系のシートを貼るのかという区分を色で行い、最終的にそれらの面積を算出するということをよくやります。

私はプロですから、依頼されたことはきちんとやります。でも。数量を拾い出しするのは「お金絡み」である場合が多いので、個人的にはあまり好きな作業ではありませんが。

ポリラインを利用する理由は大体以上のような感じです。納得できたでしょうか。

これだけを読めば便利な気がしてしまいますが、やはり他人が作図した図面では、どこがポリラインになっているかが分からないので不便に感じる場合も多いでしょう。

そうした場合には、分解(EXPLODE)コマンドでポリラインだけを分解してしまうというのもひとつの手です。私もこうした作業を何回もやってことがありますよ。

どうやってポリラインだけを分解するのかについては、質問があればいずれ説明したいと思います。